ワールドテック講師 元デンソー 愛知工業大学工学部機械学科非常勤講師 皆川一二氏
ワールドテック講師 元デンソー 愛知工業大学工学部機械学科非常勤講師 皆川一二氏
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 大手企業の中でも優秀だと評価される技術者が習得している品質手法を網羅し、高い水準の「品質力」を身に付ける──。こうしたコンセプトで「技術者塾」が立ち上げた連続講座「品質完璧マスターシリーズ」。デンソーの開発設計者出身で「品質リーダー」も経験した皆川一二氏が講師を務める。この中に「因子の最適値の決め手『実験計画法』入門」という講座がある。トヨタグループにとって実験計画法とは何か。皆川氏に詳しく聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──「品質完璧マスターシリーズ」、第9回の講座のテーマは「実験計画法」です。初めて聞く人でも分かるように、まずは実験計画法を分かりやすく説明してください。

皆川氏:実験計画法は、最適値を最小の試料から最速で求めるための方法です。「データがない」ことがポイント。その点が多変量解析(品質完璧マスターシリーズの第8回を参照)などとの大きな違いです。多変量解析は山積みのデータがあり、その中から価値のある意味を見いだす手法です。これに対し、実験計画法はデータがないときに利用する手法です。

 「技術者塾」の実験計画法の講座では、紙で作るヘリコプター「紙コプター」の演習を行います(注:2019年からは「ミニ四駆」レースの演習を行います)。大まかな形状は、長方形の紙に途中まで切り込みを入れて二又(ふたまた)にし、それを互いに反対方向に曲げて羽根にしたものです。そして、受講者(チーム)に作ってもらった紙コプターをある高さから自然落下させ、滞空時間の長さを競います。最も滞空時間の長い紙コプターを作った受講者(チーム)が優勝というコンテストです。

 紙コプターを作る上で決まっているのは、紙の材質と胴体の長さだけ。羽根の長さや、羽根の幅、胴体の幅、胴体の絞り、クリップの数、羽根の角度は自由に設計できます。さあ、このコンテストで、あなたならどうしますか?