ワールドテック講師 元デンソー 愛知工業大学工学部機械工学科非常勤講師の皆川一二氏
ワールドテック講師 元デンソー 愛知工業大学工学部機械工学科非常勤講師の皆川一二氏
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 大手企業の中で優秀だと言われる技術者が習得している品質手法を網羅し、高い水準の「品質力」を身に付ける──。こうしたコンセプトで「技術者塾」が立ち上げた連続講座「品質完璧マスターシリーズ」。デンソーの開発設計者出身で「品質リーダー」も経験した皆川一二氏が講師を務める。その中に「トヨタの課題解決の秘密『QCストーリー』」という講座がある。「QCストーリー」は、トヨタグループの中で「仕事の品質」を高め、課題解決力を向上させるツールとして普及している。トヨタグループは「QCストーリー」をどのように使いこなすのか。同氏に聞いた。(聞き手は近岡 裕)

「品質完璧マスターシリーズ」の講座は、毎回演習が盛り上がりますね。受講者の方が楽しんで取り組んでいることがよく分かります。さて、第5回の講座で取り上げるテーマは「QCストーリー」です。QCという言葉は「品質管理」を意味するものとして聞き慣れていますが、「QCストーリー」という言葉はそれほどではありません。ズバリ、「QCストーリー」とは何ですか?

皆川氏:製造業において品質には2つあります。「モノの品質」と「仕事の品質」。です。このうち、仕事の品質を高めるために使うのが「QCストーリー」です。根本にある考えは、良い計画は良い結果を生み出すというもの。きちんと計画立てて、質の高い結果を得ることを目的とするのが、「QCストーリー」です。

 計画を立てずにやみくもに着手すると、ばらばらなやり方や思いつきに左右される可能性があります。そこで、ばらつきのない質の高い仕事を遂行しようという考えから始まったのが「QCストーリー」です。

 トヨタグループでは「QCストーリー」を「問題解決のステップ」とも表現します。では、問題とは何か。それはまさに日常の仕事そのものです。従って、「QCストーリー」は日々の仕事の改善とも言えます。具体的には、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを使って「QCストーリー」をスパイラルアップさせることで、レベルを高めていきます。