「出図可否審査会がなかった」

この錆発生の不具合でいえば、真因は何ですか?

皆川氏:系統図を展開して直接原因を特定した上で、真因を考えていきます。例えば、「図面の読み取りを間違えた」というものが直接原因だとしたら、それを発生させてしまった仕組みを考えます。すると、例えば「出図可否審査会がなかった」という真因にたどり着くことができるのです。

 しかしここで、なぜ出図可否審査会がなかったのかについては、「発生」と「流出」の両面で考えなければなりません。つまり、

発生面:なぜ、出図可否審査会を設けなかったのか?
流出面:なぜ、出図可否審査会がないことを許したのか?

ということです。品質をつくりこむためには、不具合を発生させないことと、流出させないことの両方で網を掛ける必要があるからです。

 しつこいようですが、直接原因だけでは、特定の不具合については十分に対策できたとしても、他の不具合が起こる可能性があります。従って、仕組みに落とし込み、未然防止を行わないと根本対策にはなりません。

 そうそう、「未然防止」は日本が誇る、日本オリジナルの考え方です。それが証拠に、世界の製造業で「Mizenboshi」で通用します。「Kaizen」と同じで、今や世界の共通言語となっているのです。しかし、「未然防止には、なぜなぜ分析が必要である」という認識は、まだ海外企業にはありません。それはそうでしょう。日本でも本当の「なぜなぜ分析」を知っている企業は少ないのですから。

 世界で差を広げ、競合企業に対して優位に立つためにも、ぜひ本講座に来て、「なぜなぜ分析」の本質をマスターしてください。