真因とは何か?

真因と直接原因、ですね。その違いはどこにあるのでしょうか。

皆川氏:真因とは、「仕組みの原因」です。つまり、不具合やトラブルの大元にある、管理の不足など仕組みの不備のこと。仕組みを変えて、仕事のやり方を変更しなければ、不具合やトラブルを根本から解決することはできないのです。

 例えば、新製品を発売したところ、市場不具合が発覚したとします。慌てて製品を回収して不具合の原因(直接原因)を調べると、ある部品Xに間違って不良品が納品されていたことが分かった。だから、部品Xを全て良品と取り替えた──。これでは対症療法に過ぎず、この不具合を完治させることはできません。異なる部品Yで同じようなミスがあって、再び市場不具合を起こす危険性があります。この不具合の真因は、「量産の可否の審査がなかったこと」にあります。

 このように、仕組みを変えて仕事のやり方まで改善しなければ、不具合やトラブルの原因対策にはならないのです。そのためには、直接原因を起こした人やチーム、組織などの行動や仕組みまできちんと調べる必要があります。