──トラブルが生じた際に、トヨタグループではどのように処理していくのですか?

皆川氏:まずは系統図法を使い、「直接原因」を考えられるだけ考え出して展開していきます。続いて、1つひとつの原因についてマトリックス図法を使って、データ(具体的な数値データ)を記しつつ、影響度や発生度、検出度などを数値評価(例えば、5段階評価など)していきます。こうして直接原因を特定した上で対策に入っていくのです。

 ちなみに、私が好きなのは系統図法とマトリックス図法を別々に使うのではなく、一緒に組み合わせて使う方法です。何かトラブルが発生した際に、いろいろな対策方法の検討と判断、そして評価を同時にこなせるからです。

──現在、QC七つ道具と新QC七つ道具を活用している日本企業はどれくらいあるのでしょうか。

皆川氏:私の経験では、「QC七つ道具と新QC七つ道具を知っていますか?」と聞くと、さすがに「知っています」という人は多い。しかし、さらに聞いていくと表面的に知っているものの、うまく使いこなせている企業が少ないという印象です。

 そうそう、「KKD」って何だか分かりますか?

──さて、何でしょうか。見当もつきません。

皆川氏:勘(Kan)、コツ(Kotsu)、度胸(Dokyou)の頭文字を取ったものです。これらは、QC七つ道具と新QC七つ道具の真逆の言葉です。これらをトヨタグループではKKDと呼んでいるのです。当然、こうした表現には「評価しない」という「負」の意味が込められています。

 KKDで進めても、最初は早く結果が出てくる場合があるかもしれません。しかし、時間が経つにつれてQC七つ道具と新QC七つ道具を活用して得られる結果の方が急速に上回っていきます。そして、最後は急がば回れという諺(ことわざ)の教えに帰着するのです。

 トヨタ自動車に品質関連の報告を行う際に、QC七つ道具と新QC七つ道具を使うことは必須です。使っていない報告書は、品質保証部門が受け取ってくれません。