量産時のばらつきを考慮すべし

──強度トラブルの一例を紹介してください。

本間氏:着色したプラスチック製部品の強度トラブルが増えています。この場合、素材(ポリマー)に着色剤を混ぜて成形材料にします。ところが、着色剤の種類や量が適切でないと、成形時にポリマーが熱分解することがあります。すると、変色や銀条、強度不足が生じる可能性があるのは冒頭の通りです。

 自動車部品や電子製品の筐体で、衝撃で割れやすくなったというケースはよくあります。従来は問題なかったにもかかわらず、です。これは、着色剤の種類や添加量が従来と変わったことの他に、再生材料などを混ぜたり、成形条件が変化したりといった原因が考えられます。

──どのようにしたら、この種のトラブルを避けられますか。

本間氏:日本のプラスチックメーカーは出荷前に成形材料を造り、品質をテストして、適合したものを出荷してくれることが多いと思います。しかし、新興国のプラスチックメーカーにここまで期待できるケースはまれです。コストを下げて品質を守るには、プラスチックについて学び、現地調達や生産の影響について事前にチェックしておかなければなりません。

 プラスチック製品の場合は、ばらつきを考慮することが極めて大切です。試作したときには問題なくても、量産すると強度にばらつきが生じることは珍しくありません。従って、ばらつきを踏まえた添加剤の配合や成形条件、製品設計を適正化することも必要です。特に、海外で生産する場合は、成形条件のばらつきによって強度低下が起きるかどうかを事前に調べておかなければなりません。

 場合によっては、使用条件や温度、応力などをより厳しい方向に振り、それでも問題が起きないことを確かめる必要があります。試作時に、より過酷な荷重や温度、温度変化などを与えた上で品質を確認するのです。