伊本貴士氏=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロIoT技術講師
伊本貴士氏=メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロIoT技術講師
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 「製造業のルールをガラリと変える」「対応しなければビジネスができなくなる」──。先行する企業がこう表現するIoT(Internet of Things、もののインターネット)化。多くの企業がIoTの導入の必要性を認識し、具体的な導入方法を模索し始めた。製造業の技術者や管理者、経営者がIoTについて基礎から体系的に、かつ体験的に学べる「技術者塾」の講座「体系的かつ体験的に学べる 製造業向けIoT講座」で講師を務める1人である伊本貴士氏(メディアスケッチ 代表取締役 兼 コーデセブン CTO、サートプロIoT技術講師)に、日本企業のIoT化の現状を聞いた。(聞き手は近岡 裕)


──日本の製造業におけるIoTの導入の現状を教えてください。

伊本氏:IoTを導入している日本企業はまだまだ少ないと言えます。一方で、検討する企業はここにきて急増しています。導入済みの企業と検討中の企業の数にギャップがあるのは、IoTの導入を実際に進めていく推進リーダーが不足しているからです。

 というのは、IoTではIT分野の知識はもちろん、それ以外の分野の知識、例えばハードウエアや無線、人工知能などの知識が必要となるからです。これらの知識を兼ね備えている人材はごくわずかしかいません。世界に視野を広げても珍しい。そのため、ほとんどの企業ではIoTの推進リーダーを任せられる人材を社内で見つけるというよりは、育てる必要があります。

──IoTの導入を検討する日本企業はなぜ急増しているのでしょうか。

伊本氏:IoTを使えば生産効率をかなり改善できる。その可能性の高さを感じている日本企業が増えているのでしょう。実際、IoTで生産効率を改善できる見込みがあることは、世界中の企業の共通認識になっています。インダストリー4.0やインダストリアルインターネットを導入する海外の先行企業を見ても、プロセス改善の部分にIoTを導入しています。そうした世界の動きに遅れてはならないという危機感を多くの日本企業が持っているのです。

 その危機感には2種類あります。1つは、IoT化で遅れると生産効率で太刀打ちできなくなり、競争力を失うかもしれないという危機感。もう1つは、今後急速に変わる社会のニーズに対応できなくなるという危機感です。