──部品メーカーや材料メーカーが押さえるべきポイントは何ですか。

加藤氏:まず、パワートレーンシステムの年代に応じた潮流の変化の中で、自社が開発する部品や材料の「ポテンシャル」や「位置づけ」を把握しなければなりません。すなわち、[1]自社の部品や材料が、パワートレーンシステム全体に対してどのような機能・役割を果たせるのか、[2]排出ガス規制や燃費規制の動きを考慮しつつ将来のパワートレーン動向を踏まえた上で、自社の強みは何であり、どこに注力すべきなのか、を正確に把握する必要があるのです。

 実は、パワートレーンの部品や材料を造っているメーカーでも、パワートレーン全体の中で自社製品の位置付けを正確に理解していない人は少なくありません。最近のパワートレーンは複雑化・大規模化している上に、製品が多岐にわたっており、部品点数が増えているからです。部品や材料メーカーの中で分業化も進んでおり、開発設計や実験、製造と人によって担当する分野も異なっています。加えてパワートレーン分野は製品点数も多く、自動車メーカーや1次部品メーカー(ティア1)から言われた通りに造っている部品や材料メーカーも多い。このように、個々の部品や材料メーカーがパワートレーンシステム全体を把握しづらい環境になっているのです。

 それでも、激しい競争に打ち勝っていくためには、今後の動向の中で、現行の部品や材料をどのように変えていくべきか、新たな市場製品は何か、そして他社に比べてどこに優位性を見いだすかを考えることが重要です。