VPM技術研究所 代表取締役 所長 佐藤 嘉彦 氏
VPM技術研究所 代表取締役 所長 佐藤 嘉彦 氏
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 複数の製品をまたいだ部品の共通化を進めるモジュラーデザイン(MD)が注目されている。部品の種類(部品数)を削減し、コスト削減を実現することがその狙いの1つだ。だが、必要性を感じつつも、実践できずに悩む人も多い。いすゞ自動車時代に部品数マネジメントとモジュラーデザインを実践し、100万点の部品を7割減らした実績を持つVPM技術研究所代表取締役所長の佐藤嘉彦氏。その極意を聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──部品の共通化は製造業にとって普遍的な課題のはずです。なぜ今、部品の種類(部品数)削減を望む声が大きくなっているのでしょうか。

佐藤氏:「アベノミクス」で多くの輸出型企業が利益を出しました。ところが円高が進むと、とたんに利益を減らしてしまう。結局、為替の変動で利益が増減しているだけ。この間に企業は一体何をしたのでしょうか。

 実際には、多くの企業が利益を高めるための活動を十分にできていない。言葉では「部品の共通化」「プラットフォームの共有化」「モジュール化」を進めていると言いながら、具体的には進めていない企業が多いと思います。

 私が薦めるモジュラーデザインによる部品数マネジメントの最大の狙いは、固定費の削減です。具体的には、部品数を減らすことで開発費を削減する。これは開発期間の短縮にもつながります。加えて、「中種中量」化による生産性向上、すなわち原価低減を実現する。さらに、部品数が少ないため、補修部品の管理費なども下げられる。これらに目を向けた収益改善を狙うのです。