こうなれば、カタログ燃費はもはや有名無実化して誰も注目しなくなります。従って、もしも、現在カタログ燃費に「下駄」をはかせているメーカーがいたら、あえて脱ぐ必要もありません。

 消費者が実燃費を計算する方法は、3000km走行単位での満タン法による走行距離と燃料充填量を記録するやり方にしたらよいでしょう。ただし、消費者が給油所で自動車に燃料を満タンにした後、持参した携行缶に燃料を詰めて帰り、その分を燃料消費量に上乗せするような不正にどう対応するかは、ここでは議論しません。他にも運用上の課題はいろいろあると思いますが、それらは少し考えればどうにでもなります。

 問題は、こうした法律を作れるかどうかです。反対の論拠は「自由経済原則に反する」というところでしょうか。しかし、どのメーカーも「顧客第一主義」と言っているではありませんか。顧客が第一なのだから、それ以上のものはないはずです。

 カタログ表記の値が出ないということは商取引上の原則を逸脱した欺瞞であり、消費者センターも直ちに出動して販売停止命令を発すべき重大な問題です。この法律に反対する勢力は、多大な力を持ったもろもろの政治団体関係かもしれません。しかし、日本国民もロジカルシンキングで正義を実現する姿を見せましょう。私ももう少し若ければラルフ・ネーダー*3にもなりますが、どこかの組織が代表して国民の署名活動を行い、数千万人の声を集めて(そのぐらいはすぐに集まると予想できます)成立に向けて活動してほしいと思います。

*3 米国の環境問題や消費者の権利保護問題、民主化問題を扱っている弁護士・社会運動家。1960年代から活動している。