ジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏
ジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏
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 工場の実力が弱まってきたと気付く日本企業が増えている。トラブルが起きても解決に時間がかかったり部分最適になっていたりして、「儲からない工場」に陥っているケースが目立っているのだ。工場の力を再び高め、短期間でも成果が出せるようにするにはどうしたらよいのか。「技術者塾」において「半年で“数字”を上げるコツが分かる 工場マネジメントの実務と要点」の講座を持つ、ジェムコ日本経営本部長コンサルタントの古谷賢一氏に聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──日本企業の工場の力が変調を来していると警鐘を鳴らしています。

古谷氏:正直に言って、日本企業の工場の力は弱りつつあると感じています。しかも海外工場に限らず、国内工場にも異変が見られるのです。その証拠に、今、歴史や体力がある大手企業が、工場マネジメントを担う幹部人材(以下、生産マネージャー)の育成に力を入れ始めています。「ここで手を打っておかないと大変なことになる」と、どの企業も深刻に捉えています。

──どのような点に危機感を覚えているのでしょうか。

古谷氏:多いのが、対応力の低下です。自身が工場長だった時と今の対応力に差を感じると言う経営者が目立ちます。「私が工場長の時、この程度の問題なら1日で解決していた。それなのに、今は何日もかけている。おかしい」と。優秀な経営者ほど、鋭い“嗅覚”で実力低下の弱体化に気付くという傾向があります。

 世の中の技術革新を受けて製品を造る上で必要な技術レベルが高まる中、求められるQCDの水準はどんどん上がっています。つまり、今後工場に要求される力は高まる一方なのに、自社の工場の実力は弱体化している。人の育成には時間がかかるため、ここで手をこまぬいていると取り返しがつかなくなる、と考える経営者が増えているのです。