TPS導入に積極的な海外企業

トータルTPSは生産現場だけでなく、開発設計にも適用できるとのこと。事例を教えてもらえませんか。

堀切氏:開発設計部門にトータルTPSを導入して成果を出した米国の有名な2輪車メーカーがあります。開発設計部門には、大部屋制度、見える化、活性化活動を取り入れます。大部屋制度を導入することで、関係する組織や人の間で目標を明確化できます。加えて、いろいろな人が意見を交換することができ、ものごとを即断即決することができるのです。

 見える化を取り入れるのは、いろいろな立場の従業員が大勢集まっているためです。見える化しないと、従業員の間で意思統一やコミュニケーションを図ることができません。加えて、既に述べた通り、PDCAをしっかり回していくためには見える化が必要です。

 活性化活動は、従業員の意欲を高めて正のスパイラルを回す方法で、これは生産現場の場合と変わりません。

 興味深いのは、トータルTPSの思想に共鳴する海外企業が意外に多いことです。特に、欧州と米国の企業で手応えを感じています。欧米では階級社会の影響が残っていると言われることがありますが、トータルTPSの考え方は、国籍や業種に関係なくいろいろな所で使えるのではないかと私は感じています。