設計部門のリーダーの大切な条件

──1つはDRで承認か否かの判断ができること、もう1つは競合分析を行って攻撃面での戦略を立てられること。この2つが世界で勝てる設計管理者の条件ということですね。

國井氏:そこまでいけば80点。残りの20点は、設計部門やチームを率いるリーダーとして大切な条件です。それは、「自分の夢に他人を参加させること」です。そのために、必要なことはまず、コミュニケーション能力。自分の夢をみんなにプレゼンテーションし、いろいろな人と交渉して人を動かさなければならないからです。

 次に、相乗効果を生かすこと。優秀な設計者だった人ほど、自分1人でなんとかしようと頑張ってしまう。しかし、当然それでは限界があるので、自分にはない他人の能力を活用しなければなりません。

 そして、組織づくりです。チームを結成し、役割分担を決めてプロジェクトを推進できなければなりません。残念ながら、現在の日本企業には役割分担を決められない設計管理者が少なくないのです。

 こうした条件を備えたリーダーをイメージするなら、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏のような人でしょうか。自分の夢に他人を参加させ、参加者が持つ力を引き出しつつ、しっかりと組織構築も行う。山中氏はノーベル賞の授賞式で部下の顔写真を映し出したと聞きます。山中氏は立派すぎるかもしれませんが、これこそが設計管理者(技術者)に求められる理想的なリーダーの姿なのです。

──技術者塾の講座「設計管理者に必須の設計マネジメントの実務と要点」は、どのような内容になっているのでしょうか。

國井氏:講座では、まずイエスかノーかをきちんと判断ができるように導きます。続いて、技術者としての「道具」を使って戦略を立てる方法を解説します。そして、コミュニケーションの取り方を、ある企業での実例を基に教えます。

 この実例では、部下からの週報を小規模のDR「ミニミニDR」として活用します。例えば自動車メーカーではDRを複数回に分けて実施するのですが、それぞれが大規模なイベントになっています。設計者はこれらの大イベントに合わせて仕事を進める必要があり、大変な負荷がかかります。そこで、この方法をやめて少しずつDRを行う方法を実例で解説します。