戦後、日本の製造業は品質を重視する経営を推進し、高いグローバル競争力を実現して飛躍してきた。こうした日本の品質関連の取り組みを支えてきたのが「デミング賞」で知られる日本科学技術連盟(以下、日科技連)だ。日科技連では、全国の企業・組織が“クオリティ”に関する事例を発表する「クオリティフォーラム2017(品質経営総合大会)」(2017年11月14日~15日)を開催する。日経テクノロジーオンラインは、同フォーラムの開催に先立ち、登壇者のインタビュー記事を連載する。今回はトヨタホーム常務取締役営業センター長の後藤裕司氏のインタビューをお届けする。(聞き手は伊藤公一=ジャーナリスト)
――トヨタグループにおける、トヨタホームの存在意義をどのように受け止めていますか。
後藤:当社の源流を遡ると1975年に新設されたトヨタ自動車工業の住宅事業部に行き着きます。その後、2003年に営業部門を分離してトヨタホームを設立。そして、2010年にトヨタ自動車から完全に独立して現在に至ります。そのような経緯の中、当社はグループ17社における住宅事業を担う会社という重いミッションを与えられています。
トヨタにおける住宅事業は戦後の焼け野原を目の当たりにしたトヨタ自動車の創業者、豊田喜一郎の「人は皆、ある一定水準以上の住宅に住む権利を有すること」という思いから始まっています。その精神は現在も連綿と受け継がれていると思います。
――販売に際して、代理店制度を導入している点にトヨタイズムが感じられますね。
後藤:当社は他の住宅会社と比べて2つの大きな特徴があります。第一には販売店を通じて商品やサービスを提供する「代理販売制度」を採用していることです。おっしゃるように、トヨタ流の車のビジネスを活かせる利点がある半面、お客様と直接接する機会が少ないという点があります。
第二は多様な人材が混在していることです。入社以来住宅一筋のスタッフと自動車部門から異動してきたスタッフが混在していること。また新卒入社者とキャリア入社者の混在もあります。