現代のマネジャーに求められていることは、極論すると「問題の発見・解決力」「課題の形成・達成力」である。激変する企業環境の中、これまで経験をしたことのない状況下で何が問題かまたは課題なのか、どのようにすることが最適解かも分からずに苦慮しているマネジャーも多いだろう。しかし、組織のリーダーは、このような環境下でもメンバーを率いて結果を出すことを求められており、その突破力に真価が問われてくる。

 本稿では、プロセスマネジメントテクノ代表の永原賢造氏に「マネジャーの問題解決力と課題達成力向上」の要諦を解説してもらう。同氏はリコーで経営品質管理本部長、技師長を歴任し、日本科学技術連盟主催の「実践問題解決セミナー マネージャーコース」で主任講師を勤めている人物だ。

永原賢造
永原賢造
プロセスマネジメントテクノ代表、日本科学技術連盟嘱託

 筆者は長年、マネジャーの人づくりにも関与してきた。各人が現在抱える最もプライオリティーの高いテーマにチャレンジする中で、問題解決型及び課題達成型のストーリー展開法を教育・訓練しているが、できる者は一握りである。マネジャーができなければ部下育成はできない。この「問題解決力」と「課題達成力」の能力が高いマネジャーを訓練して育成することこそ、企業の高い収益力の原動力となる。

 以下では、まず組織の発展と運営の構造について示し、問題解決力と課題達成力の違いについて説明する。後半では、問題対決の具体的な事例に基づいて、マネジャーに求められる問題解決力について考えてみたい。