ブリリアントサービスの杉本札彦社長をゲストに迎えた「やさぐれ放談」の第3回。会社を辞めた2人のおじさんたち、瀬川秀樹氏、長岐祐宏氏と、杉本社長の鼎談は、技術者が輝ける環境の本質に迫っていく。技術者が自由闊達に活動できる環境は、「言うは易し」で簡単に実現できるものではない。技術者のモチベーションを高めるために何をすべきか。管理するのではなく、とにかく面白いと思ったことを具現化してもらうこと。それが、技術の付加価値向上につながると杉本社長は説く。
左から、瀬川氏、杉本氏、長岐氏(写真:加藤 康)
左から、瀬川氏、杉本氏、長岐氏(写真:加藤 康)
[画像のクリックで拡大表示]

あいつ、忙しすぎるんで、もっと自由にできないの?

瀬川 これまで、杉本さんの会社では技術者が勝手に開発できる環境をうまく整えているという話を聞いてきたけど*1、社員が勝手にやれる場を、うまくコントロールするのは難しい。優秀な人ほど、勝手にやれない多くの仕事をこなさなければならない状況になりがちですから。

 普通は「優秀なのに時間がない」という状況に陥りますよね。「それは自分で突破しろ」という方針なんですか。つまり、「自分で時間を作れ」と。

杉本 そこは、めちゃくちゃ神経質に気にしています。「あいつ、忙しすぎるんで、もっと自由にできひんの?」というような話はよくしますよ。

長岐 いいですねー。いい会社だ。マネジメントしているじゃないですか。

杉本 しているのかな…。

瀬川 してる、してる。

杉本 ただ、勤務表を見て仕事の割り振りを考えるようなことはないですね。

瀬川 雰囲気でしょ。

杉本 そうですね。社員の日々の雰囲気とか、顔色とか、それくらいしか見ていません

瀬川 それが一番なんですよ。素晴らしいと思う。

杉本 うちの会社は、どこからも出資を受けていないことが大きいのかもしれません。受託開発のビジネスで食い扶持はあるので、それを自分で稼いでいる間は自由にできるだけなんだと思います。

 シリコンバレーのベンチャー企業とも付き合いがあるんですが、スタートアップ企業の資金調達の話をよく聞きます。日本では、その金額が米国の10分の1とか、100分の1だったりする。例えば、「1億円の大型出資」とか。でも、人件費を考えると、1億円は大型じゃないですよね。

 一方で米国だったら「150億円の出資」というような話も、よくあります。ソフトウエア関連であれば、2〜3年は好きなことを開発できる金額です。もちろん、結果を出すプレッシャーはあると思いますけど、そこの差は大きいような気がします。