三浦 ええ。今は認めてもらっています。でも、最初は「越境リーダーシップの意味が分からない」「亡命者のようなイメージだね」など、ぼろぼろに言われまして…。行動科学や心理学などの理論背景がなければ、新しい人材研修プログラムとしては認められないというきちんとした会社なので。だから、当初は会社の名前を使うなと言われました。
長岐 当然、そうなるでしょうね。
三浦 ただ、会社の名前は使えないけれど、社長は「やっていいよ」と言ってくれました。「でも、会社の名前を使わずに、どういうふうに進めたらいいでしょう」と聞いたら、「それは、君が考えなさい」と。
そこで会社の顧客リストは一切使わずに、まずはソーシャルメディアを活用、つまり自分の人脈でまず人を集めて「越境リーダーシップカンファレンス」というイベントからスタートしました。2012年10月のことです。
私が「この人は、越境リーダーだ」と思った人物にお願いして、その体験を話してもらい、対話するという取り組みです。「どのように新しい事業や取り組みの成果に至ったのか」「どういう思いやプロセスで事業をつくり上げたのか」「どのように組織を動かしたのか」といった話を引き出していくセッションを5回開催しました。
長岐 そのイベントは、会社でやったんですか。
三浦 はい。
長岐 その点はある程度、許されていたんだ。
三浦 ただ、「会社として社外に発信はしない」という前提でしたけれども。
瀬川 僕も、リコーの未来技術総合研究センター長として、BOP(Base of the Pyramid)ビジネスのプロジェクトを進めていたとき、そのイベントに呼んでもらいました。
三浦 そうですね。日本政策投資銀行で「防災格付融資」の商品開発を行った方や、グラミン雪国まいたけ(現・グラミンユーグレナ)で「世界初の農業ソーシャルビジネス」を手掛けている方などに続いて、瀬川さんには5人目の越境リーダーとして来ていただきました。
瀬川 自分が「越境リーダー」かどうかよく分からないし、「俺は、越境リーダーだ」と宣伝していた記憶もないけどね(笑)。
長岐 具体的には、どんな取り組みをしているの?