2015年10月29日、「ビズラボ」の卒業生有志は新潟県三条市を訪れた。同市は現在、伝統の金属加工業をベースに“受身型”から“提案型”への体質転換を進め、製品の高付加価値化に取り組んでいる。ならば、新事業の創出を志すビジネスプロデューサーたる者、その変化をこの目で確かめなければならない。そこで、三条市の実力派企業と交流することを目的とした1泊2日の「OB・OGツアー」を企画したところ、10人以上の卒業生が名乗りを上げた。

 一行が最初に向かったのは、JR燕三条駅から徒歩で10分ほどの場所にある三条商工会議所。ここで、ビズラボの講師であるシステム・インテグレーション代表取締役の多喜義彦氏が企画した「ものづくり企業マッチング会」に臨むのだ。

 このマッチング会では、ビズラボ卒業生の代表と三条市の代表が4社ずつ、それぞれ10分間の技術プレゼンテーションを実施した。

 ビズラボの代表は、自動車部品を軸に新事業にも積極的に取り組む松尾製作所、国内で高シェアを誇るエレベーター用センサーをはじめ制御技術に強みを持つ東洋電機、魚群探知機に端を発する超音波技術を幅広い分野に展開している本多電子、樹脂製品開発の他に熱物性測定も得意とするベテルの4社である。各社のプレゼンが終わるたびに多喜氏が各社の特徴を丁寧に解説する。金属加工業が中心の三条市ではなかなか見られない技術の紹介に、三条市の聴講者も真剣に耳を傾けていた。

 次に三条市側のプレゼンが始まった。三条市の代表は、レーザー技術を活用した穴開けなど微細加工技術に秀でる板垣金属、三条市では珍しく樹脂製品の企画・開発を手掛ける川崎合成樹脂、圧倒的なシェアを持つたばこ製造用機械をはじめ機械分野で多角的な事業を展開する三條機械製作所、難加工材であるマグネシウム合金を使った高付加価値の介護製品を実現した田辺プレスの4社である。次々と登場するハイレベルな技術に、ビズラボ卒業生の目はくぎ付けになっていた。

ものづくり企業マッチング会の様子
ものづくり企業マッチング会の様子
ものづくり企業マッチング会の様子
ものづくり企業マッチング会の様子
登壇企業は、ビズラボ側が松尾製作所、東洋電機、本多電子、ベテルの4社、三条市側が板垣金属、川崎合成樹脂、三條機械製作所、田辺プレスの4社。

 全てのプレゼンテーションが終わった後は、登壇した8社や聴講者を交えた個別相談会である。分野は違えど、技術力の高さを認め合った者同士、自然と話が弾む。マッチング会の終了後も、三条商工会議所内での交流会、さらには地元の飲食店に場所を移しての懇親会と大いに盛り上がった。将来、間違いなく参加者同士のコラボレーションが生まれることを予感させて、OB・OGツアーの1日目は無事終了した。