意気揚々と杜の都である。

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 2016年2月3日、記者は冬の青空が広がる仙台に降り立った。

 キッカケは、編集長のひと言である。

「タカハシさん、仙台に興味ありません?」

 いつもの人懐っこそうな真ん丸な猫の眼をしながら編集長がずいっと寄ってきた。この目は曲者である。仙台のある宮城県は、我が故郷。興味ないはずがないではないか。

「実は、面白そうなツアーがあるんですよ」
「ツアー?」
「ええ。東北活性化研究センターが開催している講座のOB・OGツアーです」

 ―― むむ。東北活性化研究センター?

 望むところである。と、意気込む前に少し説明しなければなるまい。

 東北活性化研究センター*1(以下、東北活性研)は、東北地域(東北6県と新潟県)の産業活性化に関する調査や、地域経済の将来を担う人材育成などを手掛ける公益財団法人である。このセンターは毎年、主に東北地方のビジネスパーソンを対象に「ビジネスプロデューサー養成講座」「ビジネスアライアンス講座」を開催している。

*1 東北活性化研究センターのWebサイトはこちら

 2008年に始まったこの講座は講義を受けるだけでなく、グループワークを通じてビジネスモデルをつくり上げていくことが特徴だ。既に仙台で6期、福島、岩手、青森で1期ずつの計9期、約150人の修了生を輩出している。今回は、「ブラッシュアップ研究会」と銘打って修了生が参加する見学ツアーが開催されるのだ。

「タカハシさん、興味ありますよね。行くでしょう?」

 いかにも丁寧そうな物言いだが、ほぼ有無を言わせぬ口調である。口調と書いたが、実際のところ編集長とのやり取りはメールである。記者もサラリーマンである。いつの世も上司が発する言葉を見聞きした部下の目には、本人がその場にいなくても、その表情がもやっとオーバーレイして見えるものだ。