次世代リーダーが集まり、ビジネスプランを作り上げるための講座「ビズラボ」─。今回、「女性幹部を育成したい」との熱い思いを抱く富士通フロンテックが主催となり、初企画となる「ビズラボ・ウーマン(女性リーダーシップ研修)」が開催された。もちろん参加者は女性限定である。

 突然だが、女性の集まりには二つあると思っている。一つは状況を読み、「女性の価値」に対して格付けをする会。もう一つはオープンマインドで自由。社内ポジションへのしがらみがない無邪気な開拓民の会。筆者自身、「次世代の女性リーダーのためのビジネス講座への参加を…」と切り出された時は「どっちなんだろう。どっちに転んでも怖そう」という印象だった。

 最終発表会が終わった今だから言えるのは、ビズラボ・ウーマンは“自由闊達な開拓民の会”だったということである。そんなふうに思えた研修の具体的な内容についてぜひ紹介していきたい。

もっといいアイデアを言いたくなる

成果発表会の様子
成果発表会の様子

 ビズラボは研修の前半で、アイデアを出す才能は誰にでもあるということを体験する。講師の多喜義彦氏に誘導されつつ、はっきりと意見を言ってみる。社内のしがらみがない、利害関係のない状況という環境は「はっきり」を後押しする。

 これを繰り返していくうちに、アイデアを言うことは気持いいんだということを再発見する。そして欲が出て、もうちょっといい視点、もっといいアイデアを言いたいと思うようになる。欲が出てくると次に学ぶのは「アイデアだけでは稼げない」「稼ぎに専念し続けては続かない」ということ。

 では、どのように「稼ぎ続ける事業」を進めるかだ。知財基礎講座と、事業に関わる人との調整方法を過去の事例を通じて丁寧に教えてもらう。ここまでが事業プランニングのための準備期間だ。

 次に研修の中盤、「対話コンサル」という講義では、視点を変えて事業を企画する方法を体感する。“開発の鉄人”である多喜氏が各参加者の仕事をヒアリングし、事業の再定義と、その組み先を次々と提案してくる。

 参加者のこれまでの業務に揺さぶりをかけるかのように「ATMをお金を流通させる装置だと考えるのはどうよ。高齢者がゲームセンターにハマる昨今、ギャンブル性があるATMを作ると、お金の流通を開拓する窓口になるのでは?」はたまた「橋の補修を受託する企業ではなく、橋の危機管理をする企業と位置づけるのはどうか。補修提案と資金集めを民間団体としてやってみたら?」等々─。

 自分が手がけていた仕事にはそんな可能性があったのかという驚きと、ちょっとだけ仕事への自尊心も呼び戻ってきた。新事業ははるか彼方の別の場所ではなく、自分の手元にあったのかと思えたことは非常に大きな発見だった。