三反田 今回のキーワードは「スポーツ」です。スポーツに関係したお二人をお招きしましたが、まず、それぞれ簡単な自己紹介をお願いします。
白石 レーシングドライバーの白石です。7歳から15歳までモトクロスレースをやった後、4輪に転向しました。18歳のときに中嶋悟さんが校長を務めている「鈴鹿サーキットレーシングスクール」に入り、首席で卒業して自動車レースの世界へ行きました。レース戦績で言うと、2011年に中国最高峰のAFR(アジアン・フォーミュラ・ルノー)でアジアチャンピオンを獲得しました。
2014年からは、日本でスーパー耐久というツーリングカー(レーシングカーに対し一般車を指す)のレースに参戦するとともに、電気自動車(EV)のスポーツカー開発に取り組むGLMという企業でテストドライバーを務めています。今季は、今シーズンから新しく設けられたFIA-F4というフォーミュラカーレースにも参戦しています。
そして、2015年4月にセクナモーターズを設立しました。レースという過酷な環境下で利用されている電気自動車のパワーユニットの技術を、市販車にフィードバックする事業をメインにしています。もう一つの事業として、プロのレーシングドライバーがトレーニングで使用する本格的な「レーシングシミュレーター」(実際にGが発生する)を一般の人にも体験してもらうような取り組みも行っています。
リアル開発会議 なぜ、会社を立ち上げたんですか?
白石 レーシングドライバーとしてステップアップするには、三つの要素が必要なんですね。「ドライバーとしての技量」「スポンサー」、そして「技術力」です。分かりやすく言うと、かつて日本人レーサーがF1に乗れたのは、日本の技術が付いてきたから。トヨタ自動車や、ホンダがバックにいて優れた技術が手に入るからF1チームも日本人レーサーを起用する。なので、僕もそういう優れた技術を武器として持っておきたい。そうしないとF1チームに見てもらえません。
白石 特に今、F1も電気化が進んでいます。去年からハイブリッドカーになって、モーターと小さなエンジンで車が走っている。将来的にはもっと電気化は進むだろうし、早めにそちらに目を移したほうがいいだろうと思いまして、ちょうど2014年からGLMで電気自動車の開発ドライバーにもなったことだし、僕自身のレーシングドライバーとしてのステップアップを図るために会社を設立したということです。
衞藤 質問してもいいですか。モトクロスから4輪に移ったきっかけって何だったんですか。