三反田 お二人の経緯のうち、左さんが大学を出てすぐ起業したエピソード、塩塚さんが中国に渡ったエピソードがすごく面白いんですよ。僕はもうそれが印象的で(笑)。ぜひその話をお願いします。

 大学を出て介護で起業しようと思ったときにですね、友達に「介護で起業するってどう思う?」と聞いたんです。そしたら「2、3年、介護業界で仕事してから起業すればいいじゃん」と言うんです。10人に聞いたら10人とも。でも、就職活動で企業経営者10人に同じことを聞いてみた。そしたら、10人が10人とも逆に「早くやれ」と言うんです。

 経営者10人にそう言われて、「金は出してやるから」とまで言われると、あれれって変わるじゃないですか。結局、質問する相手を間違えると、実は起業できないし、新しい商品が生まれることもないというのが、僕の起業の原点だったのだと思います。

塩塚 僕はそんな立派なエピソードがなくて、中国に行った理由は占いでした。いつも笑われるけど、本当に。親の知り合いですごく有名な占い師がいたんです。僕は大学で文学部だったんですが、なんというか“くすぶって”いまして。

三反田 くすぶるって(笑)。

塩塚 何をしていいいか分からなかったんですよ。でも、夢だけは大きくてでかい口を叩いていましてね。占ってもらったら、「君は中国に行ったら必ずいいことが起こるから」と。「32歳で社長になる、間違いない、それが見える」って言うんです。最初の会社に入る時にも自分は絶対社長になると決めていたので、かばん持ちをさせてくださいとお願いしました。だから、社員教育というのを一切受けていなくて、最初から32歳で社長になるために頑張ってきたんですよ。実際に32歳で社長になりましたし。

三反田 ね、2人とも素直でしょう(笑)。

 占い師によって選ばれたわけですね。いや、すごいな。

三反田 左さんも中国には結構行っていますよね。

 僕の場合は中国で事業することに興味はなくて、介護業界の将来を考えてネットワークづくりに行っています。

 現在の介護業界は約100万人の人手不足と言われていて、新卒採用を含め、若い人に来てもらえるような取り組みをしています。介護甲子園は、その一つです。しかし、介護産業のビジネスは20年後にピークアウトが始まります。それは今入ってくる若者が40代、一番脂がのっている年代で国内市場規模が縮小していくということです。

 そのときに介護のノウハウを持ってアジアに出なさいよ、というのが僕の考えなんです。日本の介護を、世界の中心として発信していく。今はそのためのネットワークづくりのためにアジア各国へ出向いているという状況ですね。

 僕自身は喘息もあるせいか、潔癖だし、中国で危険を感じながらビジネスしたいとは思わないんですけどね。5つ星ホテルでも大丈夫かと思ってしまう。

いきいきらいふが展開する入浴専門3時間デイサービス「いきいきらいふSPA」の店内。「自分の受けたい、家族に受けてもらいたい介護」を理念に、カッコいい介護業界を目指している(写真提供:いきいきらいふ)
いきいきらいふが展開する入浴専門3時間デイサービス「いきいきらいふSPA」の店内。「自分の受けたい、家族に受けてもらいたい介護」を理念に、カッコいい介護業界を目指している(写真提供:いきいきらいふ)
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