斉藤 まず、結局物事はやはり見方が大切だということかな。今、「日本はお先真っ暗、誰もが希望を持てない」と語られることが多いですが、逆に僕なんかはそこにこそチャンスがあると考えています。

 男性って歴史を振り返って、「戦国時代に生まれてれば、幕末に生まれていれば、こんなことをしたのに」ってよく言うじゃないですか。平凡な時代に生まれちゃったという思いなんでしょうけど、僕は今まさにそういう時代になっていると見ています。20年後、30年後には日本がなくなってしまっているかもしれないという強い危機感です。その意味で、今は明治維新ばりの時代だと僕は思っていて、だからこそその分、チャンスもあふれている。まずそういう視点を持ってほしい。

 そしてその中でメッセージを伝えるとすると、二つ、意識してほしい。一つはどでかい仕掛けをしているように見えるけど、その根底には地道な積み重ねがあるということ。基礎なくして応用はないわけで、その点、専門性を持って何かを突き詰めるというのは大事なことだと思います。よく会社で3年はがんばれって言うじゃないですか。それはそういうことなんだと思います。僕もコンサルタントをやってたころは、世の中のことが分かっているようで全然分かっていなかった。介護を突き詰める中で、社会につながり、経営の原理原則につながり、社会保障とか国家にまで突き詰めることができたんだと思います。

 もう一つは、とはいえ、ただ地道に同じことをやって掘り下げているだけではダメで、それとともにチャレンジもしていかないと新しい道は開けないということ。たぶん僕ら3人に共通しているのは地道なことをしっかりやりながら、一方で無数の失敗を重ねながらも新しいチャレンジを常にやり続けていることじゃないでしょうか。

浅水 僕の場合は、若手と交流することが多くて、見ていてやっぱり思うのはもっと失敗すること。チャレンジと一緒なんですが、失敗を恐れる若者が多いと改めて思う。

浅水 耕太(あさみず・こうた)。1980年、北海道函館市生まれ。2009年にサンズコーポレーションを設立。2013年、サンズラボを設立。2015年、ニホントランカ設立。グローバルスポーツアカデミー理事。函館黒船地域活性化協議会副会長(写真:加藤 康)
浅水 耕太(あさみず・こうた)。1980年、北海道函館市生まれ。2009年にサンズコーポレーションを設立。2013年、サンズラボを設立。2015年、ニホントランカ設立。グローバルスポーツアカデミー理事。函館黒船地域活性化協議会副会長(写真:加藤 康)
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 失敗するにはチャレンジしないといけないわけですが、何かやりたいことがあったら、まずチャレンジしないことには始まらないし、失敗することで理解するし、そこからまた新しいものが生まれる。それが世の中の道理なんだけど、それをちゃんと体験するということ。理屈に走っちゃって、行動して、体験して、失敗して、その原因まで掘り下げてまた行動するって若者が減っちゃったように思います。

 そして、海外に目を向けたときに、日本に生まれてラッキーだった、と思うだけじゃなくて、もっとハングリーにもなってほしいとも思います。国民性もあるのかもしれないですけど、日本人は知識も技能もあるわけだから、そこにハングリーさが加わればもっと良くなっていくと思うんですね。特に今の地方にはそういうハングリーさが欠けている。