浅水 そう言ってもらえるとうれしいですね。僕は特に哲学とかそういうのじゃなくて、人をすごく大切にして、誰かと何かをするためには、まず人を信用するということを心掛けています。いや、信用というか、自分のことをまず見せて、知ってもらう。そして相手を見て“合う”ようだったら、一緒に仕事をしていきたい。そこが僕の原点。人を大事にしない人は、僕も大切にできない。互いの信用から化学反応は生まれるのだと思います。
リアル開発会議 お二人が取り組んでいる問題は、地方創生、超高齢社会という、今まさに日本が抱えている問題そのものだと思います。しかし、非常に困難が多く、明るい未来がなかなか指し示されていない現状もあるようにも見えますが、どうでしょうか。
斉藤 うーん、ちょっといいですか。僕は全然そんなことない、答えは簡単だと思っています。例えば、話題になる地方自治体があるじゃないですか。名市長、名知事と呼ばれるような人が出てきて、一気に財政改善をしているというようなケースです。
あれって、権限があるからできるんだということもありますけど、何をやっているのか、細かいところをひも解いていくと、結構当たり前のことをやっているんです。お金の使い方をきちんとしましょう、垂れ流しは止めましょうと。
人が大勢集まると、当たり前のことができなくなります。だから、協力者を増やしながら、一つひとつの当たり前の積み重ねを増やしていくこと。世の中はそうやってコツコツと積み上げていったときに、どこかでブレークスルーするようになっているんじゃないかな。
介護はその最たるもので、今後30年は高齢者が増え続けることは間違いないし、少子化は進むし、労働人口は減っていく。これはいきなり何かやって大きく変わるものじゃないでしょう。一つひとつ着実に積み重ねることでしか変わらない。だから僕は答えは簡単なんじゃないかと思う。
浅水 それはまったく同感で、やはりやり続けることでしか新しいものは生まれないですよね。函館で始めた「HAKODATE黒船」だって、最初は8割方非難しかなかった。でも、赤字だろうが、集客がイマイチだろうが、続けることで周囲から認めてもらえて、やっと「あいつらが言ってたことはウソじゃないんだ」と気づいてもらえる。
三反田 お二人ともブレないで生きてきたわけですけど、若いころはご苦労もあったと思います。今の若者たちを見ていると、積み上げられた後の今の状況だけを見てうらやましいとかすごいですねとか言う人が多いような気もするんです。そんなことも踏まえつつ、若い人たちにメッセージはありますか。