近年、ウエアラブルコンピュータが注目されており、特許出願も急増している。その中でも特に出願件数の多いHMD (Head Mount Display)・眼鏡型ウエアラブルコンピュータについては、以前から日本が特許出願件数において他国をリードしていたものの、近年、米国、韓国、中国の追い上げが著しい。他国の追い上げをかわすためには、競争上のポイントである小型軽量化や操作性の向上などに関する技術により一層の注力が必要である。また、ウエアラブルコンピュータ全般の用途開発において日本は米国に後れを取っており、取り組みの強化が望まれる。
ウエアラブルコンピュータとは、身に着ける、保持するなど、身体のごく近くにおいて機能することを特徴とするコンピュータ機器です。日常生活から業務用途まで幅広い範囲での活用が期待されています。
現在、スマートウォッチやリストバンド型活動量計など、多くのウエアラブルコンピュータが販売されており、今後もその市場規模の拡大が見込まれています(図1)。
このような背景の下、特許庁は「平成27年度特許出願技術動向調査」において、ウエアラブルコンピュータに関する特許出願動向を調査し、その実態を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)こちら)。本調査の主要部分を本稿で紹介します。
図2に本調査の技術俯瞰図を示します。ウエアラブルコンピュータは、HMD (Head Mount Display)・眼鏡型、リストバンド型、腕時計型などに代表される種別があります。また、主な用途としては医療介護用途、ヘルスケア用途、業務用途、エンターテイメント用途があります。本調査では、これらの種別、用途、解決課題などの観点で特許出願を分類しました。