鉱物資源に関する技術の中でも、レアメタル関連技術については先端技術を支える上で特に重要です。鉄鋼や半導体、自動車、電子部品などの技術分野では、日本国内にレアメタル関連製品を開発する拠点を多く有しており、世界的に見て日本が比較的に優位性を確保しているレアメタル関連技術は多くあります。

 例えば、チタンやガリウムなど我が国において多く消費されているレアメタルについては、それらに関連する製品の日本国籍出願人からの特許出願は世界的に多くなっています。具体的には、チタンを利用した高張力鋼・耐熱鋼・ステンレス鋼やガリウムを利用した化合物半導体は、日本国籍出願人が多くの特許出願を行っているレアメタル製品となっています。

  特許庁は「平成26年度特許出願技術動向調査」において、レアメタル関連技術に関する特許出願動向や研究開発動向を調査し、その実態を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。同調査の主要部分を本稿で紹介します。

原料として使われ、供給拒絶リスクが高いものを対象に調査

 レアメタルに類する用語として、マイナーメタル、希少金属といった用語が存在します。政策的には、昭和62年8月に鉱業審議会レアメタル総合対策特別小委員会で定義された「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属のうち、現在工業用需要があり今後も需要があるものと、今後の技術革新に伴い新たな工業用需要が予測されるもの」を満たす31鉱種がレアメタルに該当します。このうち、レアアース(希土類)は17元素を総括して1鉱種としています。

 図1に本調査で調査対象とした元素を示します。本調査では鉱業審議会で定義されたレアメタルのうち、日本国内で各種部素材製品の原料として用いられ、また供給途絶リスクの高いとみられる元素の関連技術を対象としました。上記のほか、調査対象としたレアメタルと需要面で密接な関係がある元素、現状その利用が限定的であるが我が国の非鉄製錬所などでその利活用の拡大が問題となっている元素についても調査対象としました。

図1 調査対象とした元素(赤文字部)
図1 調査対象とした元素(赤文字部)
上段は原子番号、中段は元素記号、下段は元素名。着色部がレアメタル元素(濃い色はレアアース17元素)。本調査対象元素は赤太文字の元素。(図:三菱UFJリサーチ&コンサルティング作成)
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