中国における鉄鋼関連分野の特許出願動向を紹介する2回連載の後編は、鉄鋼などの被覆関連技術の分野に焦点を合わせる。鉄鋼などの被覆関連技術に関して、中国における特許出願は中国籍出願人によるものが全体の50%超を占め、増加率も大きい。また、実用新案登録は中国籍出願人によるものが99%を占め、特に2008年以降急増している。特許のみならず実用新案についても、訴訟などのリスクに対する警戒が必要である。

 近年、中国における鉄鋼関連分野の特許・実用新案出願(登録)件数の増加は著しく、中国に進出する日本企業にとっては中国における知財リスクが高まっています。しかし、鉄鋼材料関連技術についてどのような知財リスクが考えられるのかを検討するための基礎データが分析されていませんでした。

 こうした背景から、特許庁は「平成26年度特許出願技術動向調査」において、鉄鋼材料に関する特許出願動向や研究開発動向を調査し、中国国内でどういった出願人がどのような技術区分に出願し権利化しているのか、出願が増加している技術区分はどこなのかなど、実態を明らかにしました。本稿では、鋼板などの被覆についての同調査の主要部分を紹介します(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。なお、鉄鋼材料の圧延、合金、熱処理等に関連する技術についても調査しており、本稿の前編で紹介しています(前編へのリンクはこちら)。