中国では、第12次5カ年計画を受けて策定された中国鉄鋼科学技術ロードマップに基づき、技術開発が推進されている。中国企業などの技術水準が高まることで、日本企業との製品競争は一層激しくなるとみられる。本コラムでは今回から2回にわたり、中国における鉄鋼関連分野の特許出願動向を紹介する。前編である今回は、圧延や合金、熱処理などに関連する技術に焦点を合わせる。中国における特許出願動向を見ることで、日本企業などが来るべき技術競争で勝ち抜いていく道筋が分かってきた。我が国の企業は超高強度自動車用冷延鋼板といった、品質確保に高度な技術力を必要とする鉄鋼材料製品に強みがある。こうした製品について品質面での優位性を維持・拡大し、中国製品に対するより一層の差異化を図り、シェア拡大を目指すことが望まれる。

 近年、中国における鉄鋼関連分野の特許・実用新案出願(登録)件数の増加は著しく、中国における知財リスクが高まっています。しかしながら、鉄鋼材料の圧延、合金、熱処理などに関連する技術について、中国国内で、どういった出願人がどのような技術区分に出願し権利化しているのか、出願が増加している技術区分はどこなのかなどの基礎データが分析されていませんでした。

 そこで特許庁は「平成26年度特許出願技術動向調査」において、鉄鋼材料(圧延、合金、熱処理)に関する特許出願動向や研究開発動向を調査し、その実態を明らかにしました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。同調査の主要部分を本稿で紹介します。