加齢黄斑変性や糖尿病の影響による失明リスクを軽減

 米国テキサス州に拠点を置くVital Art and Science(VAS)社は、加齢黄斑変性や糖尿病により失明の危機がある可能性を早期の段階で発見できるデバイス「mVT」を開発しています。早期発見と適切な治療を行うことで、加齢黄斑変性や糖尿病による失明のリスクは95%軽減できると言われています。

mVT(写真:Vital Art and Science社のホームページから)
mVT(写真:Vital Art and Science社のホームページから)
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 操作はとても簡単で、スマートフォンに慣れていない世代の患者にも使いやすい設計となっています。アプリを起動すると、4つの形が出て来ます。4つの内の3つは同じ形ですが、残り1つは異なる形となっています。視界がぼやけていたり、視野が狭くなってしまったりしている場合、異なる形であっても同じ形に見えてしまうことがあります。その特徴をうまく捉えアプリを使った早期発見を提案しているのです。

 mVTは、既にFDA承認を得ており、Novartis社や大学病院との協働で開発を行っている医師が処方できるアプリとして注目を集めています。アプリから抽出されたデータは医療従事者に共有され、一人ひとりの患者に合う治療や薬を処方することができ、患者にとっても安心できるアプローチだと考えます。

 この他、米国ニューヨーク拠点のメガネ・アイウェア企業であるWarby Parker社は、モバイルアプリとパソコンのみで視力検査(眼科医の承認後処方箋発行)、メガネの試着、メガネ購入のすべての工程を家から一歩も出ずにできるサービスを提供しており、メガネ・アイウェア業界の革命的存在として注目を集めています。

 治療アプリがより患者の生活に寄り添い、そしてアプリ任せではなく、アプリを通してより医師や医療従事者が患者に寄り添って健康を支援できる。そんな循環を生み出していきたいと今回の事例を通して感じました。引き続きその可能性をお伝えしていきたいと思います。