喘息や気管支炎の強い味方!

 ぜんそくの発作は、患者によって発作が起きる要因・時間帯などが異なり、予測することは困難だと考えられています。医師の中には、いつ、どこで発作が起こったかを患者に記録として残すようアドバイスする方もいますが、記録を付け忘れるリスクや、完全に正しいデータが残せないこともあるので、その正確さにはどうしても疑問が生じます。

 米国ウィスコンシン州にあるPropeller Health社は、ぜんそく持ちの患者向けにアプリと吸引機を連携させた治療アプリを開発しています。ダウンロードしたアプリに必要項目を記入すると、アプリとBluetoothで連動する吸引器用の付属デバイス(Propeller)がPropeller Health社から郵送されます。

 ぜんそくの患者に処方される医薬品のほとんどが、このデバイスと連携することが可能。1つあたり約1200円(1米ドル114円とする)と、個人でも購入できる価格となっています。

アプリと付属デバイス(Propeller Health社のWebサイトより)
アプリと付属デバイス(Propeller Health社のWebサイトより)
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 吸引器が家に届いたらデバイスを付属させ、アプリと連携させます。その後は普段通りに吸引器を使用します。薬の投薬を忘れないようにするためのメッセージがスマートフォンに届くほか、いつ・どこで・どのような状況の時にぜんそくの発作が起こりやすくなっているのかをアプリを通して知ることができるのです。

 ぜんそくを持つ子どもがいらっしゃる家族にとって、学校にいる間に、留守の間に発作が起こったらどうしよう、といった心配は少なからずあると思います。このIoTデバイスとアプリがあれば、子どもがいつ薬を吸引したか、どのような時に発作を起こしやすいのかが分かり、安全が守れるだけでなく、治療もしやすくなるのではないでしょうか。

FDA承認やエビデンスを通じた事例を

 前回のコラムでは「出産」、そして今回は「育児」と、新しい命を育む上でモバイルヘルスが貢献できる可能性を提示している最新事例をお伝えしました。昨今ではネットでの情報があふれており、中には不安を煽るような記事、何を信じていいのかが分からないことも多くあります。

 こうした中、この2回のコラムで紹介したのは、単に画期的なアプローチというだけではなく、しっかりとFDA承認やエビデンスを通じて有効性や安全性が確認されている事例が海外では多く創出され始めてきているということです。この潮流は今後、日本を含むグローバルなモバイルヘルスの潮流を捉えていく上で、参考になると思われます。