皆さま、ご無沙汰しております。キュア・アップの佐竹晃太です。

 この数年で、モバイルヘルス業界は大きな進歩を遂げてきました。キュア・アップとしても、慶應義塾大学呼吸器内科学教室とニコチン依存症治療アプリを共同開発し、現在、多施設にて共同臨床研究を行っています。この他、2016年10月からは東京大学医学部付属病院と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の臨床研究も開始し、着実に歩みを進めています。

 この分野で一歩先を進む米国では、モバイルヘルスの医療現場での活用が加速してきています。この時流を受け、本連載では今後も少しずつ、海外の最新情報を共有していきたいと思います。

 もし、モバイルヘルスについてご存知でない場合は、まず始めにこちらの記事をご覧ください。

臨床現場のあり方変える「モバイルヘルス」

米国でも注目されている医療系ベンチャー

 今回紹介するのは、パーソナルコーチングアプリを開発している米Vida Health社というモバイルヘルス企業です。2014年設立の比較的新しい企業ですが、既に1000万米ドル以上の出資を受け、米国でも注目されている医療系ベンチャーの一つです。

 同社が展開しているアプリ「Vida Health」は、肥満、糖尿病治療、高血圧治療、食生活の改善、ストレスの軽減を対象としたもの。24時間365日、自分専用のコーチと、テレビ電話やインスタントメッセージの送受信を行うことができ、リマインド機能、食事管理機能、血圧と体重のチャートを作成できる機能など、慢性疾患患者のセルフケア能力を向上させるコンテンツが充実しています。

 日本でも、こうした健康増進を目的としたパーソナルコーチングアプリの事例が出てきていますが、Vida Health社はアカデミアとの連携をかなり進めている点が特色の一つです。パートナーとして提携している医療機関には、デューク大学、スタンフォード大学、MDアンダーソンがんセンターなどが名を連ねます。

 また、最近Vida Health社が進めている注目の取り組みとして、製薬会社とのアライアンスを図り、事業の提供先を広げていることが挙げられます。「アストラゼネカ」という製薬企業をご存じの方は多いと思いますが、Vida Health社はこの英AstraZeneca社とタッグを組み、2015年7月に心臓病患者を対象とした「Day-by-Day」というアプリを開発しました。