【番外編】「リアル開発会議@びんご府中」

広島県・府中市の市内外に拠点を持つ企業を中心とした新事業創出のため、本市内外の企業・団体・個人が連携して新商品・新サービスを開発する取り組み。

リアル開発会議側から開発テーマを提示し、これを基に議論を進める。

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 山陽新幹線、福山駅からローカル線に乗って北に50分。そこに広島県府中市がある。2017年9月~12月、3回にわたってこの地で「リアル開発会議@びんご府中」が開催された。

 府中市は、元来、豊かな土地だった。島根県にある石見銀山と瀬戸内海を結ぶ街道の中間地点にあり、モノやヒトの往来が盛んだったためだ。銀を扱ってきたことから金融業に加え、木工や鉄工、繊維などさまざまな工業が栄えた。古く7世紀には備後地区の「国府」が置かれ、備後国の政治、経済、文化の中心であったという。

 ところが、この府中市も、今や典型的な地方都市だ。高い高齢化率、周辺大都市への人口流出、地元企業の減少と減益による税収の減少などが課題。駅前はシャッター商店街となっており、土日であっても行き交う人はまばらで活気がない。地元企業の採用に応募してきた大学生から「駅前を見て入社を躊躇した」と言われるほどの寂れようだ。

 救いは、府中市の潜在能力が高いこと。リョービのほか、北川鉄工所を中心とした技術力に定評のある金属加工業者や「府中家具」で有名な木工業者が本社を構え、世界的に事業を展開している。

 リアル開発会議@びんご府中は、市の未来に危機感を抱く府中市からの委託を受けて、2017年から始まった。府中市の企業や個人のポテンシャルと、市外の企業・個人の力を組み合わせることで、府中市全体を盛り上げることを狙う。