日本を代表する家電メーカーのパナソニックが、本丸の家電事業で新事業創出を加速させようと動き出した。その推進役が、家電事業を手掛けるアプライアンス社のプロジェクト「Game Changer Catapult(ゲームチェンジャー・カタパルト)」である。社外との協創によるオープンイノベーションや、社内でのボトムアップによる新しい事業アイデアの発掘・育成を推し進め、競争が激化する家電分野で新たな価値を生み出し、次の事業のタネを提供することを目指す。

 ゲームチェンジャー・カタパルトの本格始動は2016年7月。事業部の枠組みを超えた自由な発想とスピード感を機軸に、「次世代の家電ビジネスを創る」という使命を帯び、社内における事業アイデアの公募や選考会などを実施してきた。

 ゲームチェンジャー・カタパルトでは、社外秘の開発ではなく、オープンな開発を推進している。例えば、MIT Media Labの講演会やUXデザインのセミナーを実施して、社内外で分け隔てなく議論できる場を用意し、社外との連携を積極的に進めてきた。また、価値をより早く生み出すために、社外の企業や団体、個人とのパートーナーシップの構築を目指している。

 2017年3月には、米国オースティンで開催された大型展示会「SXSW 2017」で幾つもの事業アイデアを試作品やコンセプトの形で出展した。目的は、世界の市場の評価・意見を直接聞いたり、賛同者や協業パートナーを発掘したりして、アイデアの精査や事業化を進めること。出展したのは、

  • ・ インテリアに溶け込むディスプレー「AMP」
  • ・ 洗濯を日々のオシャレの一部にする「MonStyle」
  • ・ 料理のカロリー計算を自動化する「CaloRieco」
  • ・ 料理の見た目はそのままに食材を軟らかく調理器「DeliSofter」
  • ・ 自宅で手軽に発酵食を作れる「The Ferment」
  • ・ 酒の蔵元とユーザーをつなぐ「Sake Cooler」
  • ・ 友人をつくるウエアラブル機器「Gobie」
  • ・ ウエアラブルとIoTで快適な睡眠を提供する「SLEEPWISE」

など、いずれも「2025年の家電の未来」を見据えたものである。市場からの声をフィードバックし、事業や商品に反映させていく考えだ。(田中直樹)