植物の水耕栽培(hydroponics)と、魚の水産養殖(aquaculture)を同時に行うことで、さらに生産効率を高められるとするアクアポニックス(漁耕栽培)。植物工場に次ぐ次世代型第1次産業として、世界的に注目を集めるものの、日本ではまだあまり広がっていない。

 このアクアポニックスを日本に広めたいとの思いから起業されたのが、「おうち菜園」だ。2015年10月にはアクアポニックスを教えるスクールを開講、12月には家庭でアクアポニックスを実現するための家庭用キット「アクアスプラウト~さかな畑~」を発売した。

「アクアスプラウト~さかな畑~」は3万3800円(税別、魚や植物、エアーポンプ等の備品は別売り)。2015年12月25日発売。ネット通販のみで販売する。魚は金魚3~4匹を推奨。野菜は葉物やハーブなど。日光が当たるなら、トマトも栽培可能。
「アクアスプラウト~さかな畑~」は3万3800円(税別、魚や植物、エアーポンプ等の備品は別売り)。2015年12月25日発売。ネット通販のみで販売する。魚は金魚3~4匹を推奨。野菜は葉物やハーブなど。日光が当たるなら、トマトも栽培可能。
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 アクアポニックスは、魚の排泄物を肥料に植物を栽培するというもの。いわば生態系の一部を切り取り、循環系を作り出すことができる。具体的には、魚の排泄物に含まれるアンモニアを、バクテリアによって硝酸塩に変換し植物の有機栽培に用いる。植物からすれば水や肥料の削減に、魚からすればかけ流しの水の節約やろ過設備の簡易化につながるため、“エコ”な水耕栽培・養殖技術といえる。

 もともとは農法の一つとして米国やオーストラリアを中心に発展してきた。同社代表取締役の濱田健吾氏は「ここ数年、ライフスタイルの見直しや食育教材、最貧国の食料自給策など、幅広い目的に応用されるようになっている」と話す。アクアポニックスは基本構造が単純で、規模の拡大・縮小が自由に行えるため、幅広い目的に対応しやすい。また、基本的な設備であればDIYで構築できるというのも特徴だ。