SEMICON Japanの開催まであと1カ月を切りました。出展者リストもWeb上で公開し、いよいよ開幕までのカウントダウンが始まったことを実感しています(SEMICON Japanの出展者リスト)。

 SEMICONというと、展示の中心となるのはどうしても装置メーカーのブースです。さすがに最先端の巨大なウエハープロセス装置の実機展示は困難になっていますが、それでもモノとしての形が見えて存在感のある製品は展示がさまになります。逆に苦労されているのが、ガスやケミカルの製品を展示する材料メーカー各社です。透明な気体や白い粉といった形のないものは展示物としてはアピールしにくいため、各社それぞれの工夫を凝らしています。

 もちろん、半導体サプライチェーンにおける材料の重要性が装置に劣るわけではありません。むしろ新規材料の登場が半導体の構造や製造プロセスを進化させていると言えるでしょう。そもそも、シリコン材料なくして今日の半導体産業の発展はなかったのですから。

露光装置レーザー光源のネオンが不足

 SEMIが材料分野における業界活動にも積極的に取り組んでいることをご存知でしょうか。過去の例でいえば、オゾン層破壊や温室効果によるフロン系ガスの代替、ストックホルム条約におけるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)等の登録に係る半導体製造用途の適用除外、鉛の規制によるはんだ材料の変更、地金価格の高騰による銅ボンディングワイヤーの導入などが、その代表例となります。いずれも半導体産業の持続可能性にかかわる大きな問題でした。

 あまり報道はされませんが、現在でも同様の問題の発生と対応は続いています。最もクリティカルな問題のひとつが、露光装置のレーザー光源に使用されるネオンの不足です。ネオン消費量全体の7割が半導体リソグラフィによるものですが、この消費量が今後5年間、年平均17.2%の成長を続けており、2019年には2014年の2倍以上の量に達するとの予測もあります。

半導体リソグラフィのためのネオン消費量推移
半導体リソグラフィのためのネオン消費量推移
出典:Linx Consulting, Electronic Specialty Gas Report, 2015

 旧ソ連のロシア、ウクライナの古い酸素プラントで、当時の宇宙開発用に回収されていたものが、現在もネオンの主な供給源となっていますが、生産設備を新規に作るには最低2年必要であるなど、さまざまな問題があります。もちろん、リサイクルや消費量削減の努力もされていますが、高騰した価格を下げるのは容易ではありません(詳細を報じるSEMIの記事)。

 一方で最近成果を上げた活動もあります。今春、GBL(ガンマブチロラクトン)、BDO(ブタンジオール)が国連の「向精神薬に関する条約」での取り締まり対象となる議論がありましたが、この両物質は半導体の製造に不可欠な物質であったため、迅速な対応が求められました。SEMIからの関係機関への働きかけなどにより、WHO(世界保健機関)からの規制を求める勧告は国連国際麻薬委員会において否決されました(詳細を報じるSEMIの記事)。