2017年4月に公開したSEMIレポートで、中国の前工程装置市場の拡大を分析しました(関連記事「中国の半導体設備投資はまだまだ伸びる」)。その後、2017年5月末に発行されたSEMIのファブデータベースレポート「World Fab Forecast(WFF)」の最新版では、2017年から2018年にかけての前工程装置世界市場の動きがさらに明らかになりました。

 WFFレポートは、全世界の半導体前工程ファブの設備投資や生産能力、テクノロジーなどの動向を提供するものですが、その投資計画データは、次のトレンドを示しています。

  • ファブの装置購入額は2017年に500億米ドルに迫る過去最高を記録し、2018年はさらにこれを更新する543億米ドルへと続伸する状況
  • 新規ファブの建設投資も活発であり、2018年に過去最高となる100億米ドルに達する見込み
  • 地域別市場では2017年は韓国、台湾がトップ2だが、2018年は中国が年率68%の急成長で韓国に次ぐ2位市場に上昇

 今回は、これらのトレンドを示すデータの要点をご紹介します。

急伸する前工程ファブの設備投資

 全世界の半導体前工程ファブによる設備投資金額の動向について、2004年から2016年までの実績と、2017年、2018年の予測を図1に示しました。半導体製造装置市場は2016年の後半から上昇を続けてますが、2017年はさらに成長が加速し、2018年もプラス成長を維持するでしょう。

図1●半導体前工程ファブの設備投資推移
図1●半導体前工程ファブの設備投資推移
出所:SEMI World Fab Forecast 2017年5月
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 ファブ建設については2011年以降ほぼフラットに推移していましたが、2017年から2018年にかけて連続成長することが予測されます。

 半導体大手各社はいずれも旺盛な投資を計画しており、韓国Samsung Electronics社は2017年から2018年にかけて、3D NANDおよびDRAMに過去最高水準の資本を投下しようとしています。米Intel社も負けじと、2017年には中国の3D NANDファブ、そして10nmプロセスに巨額を投資します。TSMCにも投資減速の様子はありません。そして、中国の新たな企業群による投資がこれに上積みされます。記録的な設備投資の季節が幕を開けました。