2016年最初のSEMIレポートです。遅くなりましたが、旧年中はSEMIの諸活動をご支援いただき、本当にありがとうございました。今年もまた、業界発展のためのSEMIの取組みに、ご理解とご協力をたまわりますようお願い申し上げます。

 さて、2015年を振り返ると、世界のエレクトロニクスサプライチェーンをM&Aの大波が飲み込んだ年という印象があります。電子機器では米Western Digital社による米SanDisk社の買収、半導体では米Avago Technologies社による米Broadcom社の買収、米Intel社による米Altera社の買収、オランダNXP Semiconductors社による米Freescale Semiconductor社の買収がありました。そして製造装置では米Lam Research社による米KLA-Tencor社買収と、まさにサプライチェーン全体が激動した1年でした。

 これらの買収金額の総計は1250億米ドルとも言われています。こうした未曾有のM&Aが作り変えた業界地図の中で、SEMI会員をはじめ、サプライチェーンを構成する各社は、ビジネスの再構築と新たなビジネス機会の獲得に切磋琢磨することになります。M&Aによってプレイヤーがますます絞られていく中で、日本の半導体産業が目指すべきビジネスはどこにあるか、今ほど問われているときはないでしょう。

世界中で進む200mmラインの増強

 目指すべきビジネスへの大きな足がかりのひとつに、「200mmライン」があります。ですが、日本の200mm生産設備の大きさに胡坐(あぐら)をかいていることはできません。今、世界の主要半導体製造地域で、200mmラインの増強が進められているからです。

200mmおよび300mmファブ生産能力<BR>(2015年、200mmウエハー換算の月産枚数)
200mmおよび300mmファブ生産能力
(2015年、200mmウエハー換算の月産枚数)
出典: SEMI World Fab Forecast, 2015年11月
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 もちろん、日本の200mm生産能力が世界最大であることは揺るぎませんが、生産設備の活用、稼働性ということになると、新規需要に対応して生産量が拡大する地域に勢いがあると考えざるを得ません。日本全体での意識合わせと戦略が、何らかのかたちで早急に形成されることが望まれます。

 そのひとつとなる国家レベルの動きが、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「国内半導体製造ラインの実態調査、及びその有効活用法の検討」です。「国内半導体製造ライン(ウエハプロセス工程)の実態を調査し、既存の半導体製造ラインを上記(筆者注:IoT、ロボット、医療機器向け半導体デバイス)のような特定の製品分野の製造に特化させたり、多品種少量生産に対応させるなど既存の半導体製造ラインの有効活用法の検討を目的とします」(NEDOホームページより引用)というプロジェクトであり、私も委員として参加しています。