この原稿を準備している2017年2月上旬、筆者は米国サンフランシスコにいる。半導体デバイスに関する国際会議「2017 IEEE international Solid-State Circuits Conference(ISSCC 2017)」に出席して、半導体のオリンピックと呼ばれる同会議の模様を少しでもお伝えできればと思っていたのだ。

 だが2月6日午前、最初に参加したオランダDelft大学のAntoni van Leeuwenhoek教授のセッション「Quantum Computing」(量子コンピューター)で筆者の頭の回路は丸焦げとなり、あえなく撤退。ISSCC現地報告の代わりに、次回用に執筆した韓国Samsung Electronics社のスマートフォン(スマホ)「Samsung Galaxy Note7」の分解結果を報告することにした。

 Galaxy Note7はSamsung Electronics社のフラッグシップ端末として、2016年8月19日に韓国と米国で発売された。だが、ご存じの通り2016年秋に発火事故が発生する。Samsung Electronics社の対応はこれ以上ないと言えるほど迅速だった。直ちに販売を一時中止し、Galaxy Note7 はたちまち店頭から姿を消した。当初はこれで一段落するかと思えたが、発火原因のリチウムイオン2次電池を新しい部品に置き換えて販売を再開したところ再び同じアクシデントに見舞われてしまい、最終的に製造・販売中止に追い込まれてしまった(関連記事「Note7の発火、電池の設計・生産品質・組み立てに問題」)。

 この記事の目的は、発火事故の原因を探るものではない。Galaxy Note7は歴代最高のスペックを持ち、発売前から予約が殺到して生産が追い付かないとまで言われた人気端末だった。順調に販売されていれば、間違いなくiPhoneキラーになっていただろう。本記事では、その先進的な特徴を振り返る。

Samsung Galaxy Note7の外観
Samsung Galaxy Note7の外観
5.7型の大型ディスプレーを搭載しているが、両端が湾曲しているため筐体はそれほど大きくない
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ラベルに記載された情報
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