スマートフォンに限らず、様々な電子部品の集合体である電子機器には大抵「タイミングデバイス」が搭載されている。役割は大きく分けて2つある。1つは時計機能。もう1つは通信時などの周波数の「基準信号」となるクロックの発振である。水晶ベースのものが多く、日本製が世界シェアの半分近くを占めている。とはいっても製品を普通に使っているユーザーには、なかなかその効能が見えにくい。

 今回は、インターネットバンキングなどで多用されるようになったワンタイムパスワード用トークンを分解しながら、タイミングデバイスの重要性を説明したい。分解するトークンは、米RSA Security社の「RSA SecurID SID700」である。

RSA SecurID SID700の外観とシリアル番号の刻印(右上)
RSA SecurID SID700の外観とシリアル番号の刻印(右上)
裏側には1個ずつ異なるシリアル番号が刻印されている。トークンが届くと、まずシリアル番号を登録する必要がある
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