今年も残り少なくなりました。そろそろ、今年のプリント基板業界の動きをレビューし、新年度の方向性を考えてみるのもよいかと思います。

 まず台湾プリント基板業界ですが、台湾メーカーは海外生産分(主に中国)を入れれば、間違いなく世界のトップメーカーということになります。台湾は世界の民生用エレクトロニクスの生産拠点のポジションになっていますから、そこで使われるプリント基板の多くは、ほとんど台湾メーカーによって製造供給されています。したがって、台湾の基板メーカーの動きを見ていれば、世界の民生エレクトロニクス業界の動向をうかがい知ることができます。

 今世紀に入ってからの台湾のプリント基板産業は、2008年のリーマンショックの時を別にすれば、ずっとプラス成長を続けてきました。ただ、最近成長率は小さくなってきていました。そして、今年は前年同期比がマイナス成長で始まりました。しかし、月を追うごとに出荷額は増大し、夏にはついにプラス成長に転じました。その要因としては、ずっと低迷していたパソコンの回復が寄与しているものと推定されました。

 台湾のエレクトロニクス業界は、年末商戦に向けて体勢が上がっていきますから、年間でもプラス成長を果たすかとも思われました。ところが、9月には勢いが止まり、10月には前年比でマイナス成長幅が広がる結果になっています。

 リジッド基板は前年比で完全にマイナス成長です。フレキシブル基板は、まだ伸びていますが、前年同期比ではマイナス成長が続いています。これは、回復しているように見えたPC市場が失速したことと、スマートフォンの市場が飽和に近づいて、伸び代がなくなってしまったことが主な理由のようです。

台湾のプリント基板出荷動向(上場メーカー)
台湾のプリント基板出荷動向(上場メーカー)
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 残念ながら、残りの2カ月で、エレクトロニクス業界が急反転するような気配はありません。したがって、2016年における台湾プリント基板業界は、2009年以来初めてのマイナス成長を経験することになりそうです。減少幅は、2.5~3.5%でしょう。来年も、第1四半期は同じような状況が続くでしょう。これだけ長く不振が続けば、タフな台湾メーカーは何がしかの手を打ってきますから、第3四半期には新しい展開が期待されます。