米国では、サンクスギビングデーの次の日の金曜日はブラックフライデーと呼ばれ(今年は11月25日)、1年で小売業の売り上げが最も大きくなる日とされています。この日から年末商戦が本格的に始まるわけで、ブラックフライデーの売り上げが、これからの景気の動向を占う上で、民生商品のメーカーは注目することになります。そこで私は、ブラックフライデーに先立って、ニューイングランドの大手電気量販店や小売店の様子を見て回ることにしています。
今年の場合、全体的に見て、いまひとつパンチに欠けるというのが第一印象です。消費者の気を引くようなこれといった目玉商品がないのです。それぞれ大手メーカーは、目玉となる新商品を出してはいるのですが、業界全体の流れを変えるような勢いにはなっていません。
まず、最初に取り上げるべきは、やはり薄型テレビでしょう。どの店でも、最も大きなスペースを割いています。昨年は、韓国のSamsungの存在感が圧倒的でしたが、今年は他のメーカーの進出が目立ちます。特に、韓国のLG、米国ブランドのVIZIO、船井電機がライセンスを受けて北米で展開しているSANYO、台湾ブランドになったSHARP、その他の中国メーカーのシェア拡大が目立ちます。
純日本ブランドでは、ソニーの製品がいくらか見られる程度で、他のメーカーの名前はまったく見られません。パネルの大型化、低コスト化は相変わらずですが、そろそろ飽和状態にあるようです。新技術でリードしているのは韓国メーカーで、UHD(4K)、曲面スクリーン、OLEDなどを前面に押し出していますが、全体の流れを変えるような勢いは感じられません。
テレビ本体に比べて、スピーカーやヘッドフォンなどの音響製品には新しいものが多く見られます。特に、コードレスの横長スピーカーは、米国で主流になりそうな雰囲気です。狭い日本の家屋には合わないためか、日本メーカーのブランドはわずかです。ヘッドフォンは、ピンからきりまで様々ですが、高級機種の比率が高まっているようです。この分野では歴史と実績のある、米国のBose社が存在感を出しています。