米国の医療システムは日本とは異なるところが多く、慣れないと戸惑うこともしばしばです。しかし、それなりに場数を踏めば、要領も分かってきて、効率も良くなってきます。私の米国生活も合計で20年を超えたので、だいぶ違いが分かってきました。

 まず違うのは、米国では、基本的に主治医(Primary Doctor)を持っていなければならないことです。他の専門医や大病院にかかるには、基本的に主治医の紹介がなければいけません。ですから、主治医の良しあしで、受けられる医療行為の質が大きく違ってきます。

 主治医は、町の個人開業医と、複数の医者をかかえている法人組織のクリニックがあります。私は、当初個人医を主治医にしていたのですが、いろいろと問題があったので、現在では大規模クリニックに所属している内科医に主治医になってもらっています。このクリニックは100人以上のドクターを擁し、かなりの医療機器も備えています(図1)。それでもちょっと専門的なことになると、適当な専門医療機関を紹介することになります。

図1 筆者の主治医が所属する大規模クリニック
図1 筆者の主治医が所属する大規模クリニック
これでもグループの分院だ。
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 もう1つ、日本と大きく違うのは、基本的に全ての医療行為が予約制であることです。緊急性のある場合は大病院の緊急治療室に行くことができますが、結局は主治医の方に戻されることになります。このため、時間がかかります。軽い病気ならば、予約の日になったころには治ってしまうことが少なくありません。逆に、手遅れになって、症状が悪化してしまう危険性もあります。このような医療システムに問題があることには気付いていたようで、医療システムのネットワーク化によって事態は大きく改善されつつあります。