皆さんに読んでいただいている、このコラムは、『DKNリサーチニュースレター』の日本語版を基にしています。実は英語バージョンも出ており、原則として毎週交互に発行されています。以前は両方とも毎週発行していたのですが、私の体力をかなり消耗するので、現在の頻度に減らしました。ただし、英語版は日本語版を英訳しているわけではありません。内容はかなり違っています。

 日本語版は、読者の大部分が日本にいることを想定していて、海外の業界情報をお伝えしています。一方、英語版では、主に日本の業界情報を海外の皆さんにお送りしています。このように、性格が異なる日本語版と英語版とでは読者からの反応は違っていて当然ですが、面白いことに、内容がほとんど同じ場合でも反応は微妙に違っているのです。

 典型的な例として以前掲載した記事「収まらない不況、現状打開を探るためのJPCA Show」のように、日本で開催される大規模の展示会に関するレポートのケースがあります。最近では、展示会が大型化しているのに対して、私の体力がついていかないので、全体をくまなく見て回るのは難しいところで、独断と偏見で注目技術や新製品を取り上げることになります。

透明回路の例。旭電化研究所の透明ポリイミドベースフレキシブル基板
透明回路の例。旭電化研究所の透明ポリイミドベースフレキシブル基板

 最近取り上げたものには、透明な回路と伸縮する回路があります。いずれも業界の主流からは外れる製品技術ですが、メインストリームに閉塞感があるだけに、かえって注目を浴びています。この数カ月、私もニュースレターで取り上げました。

 日本語版読者の反応は化学品メーカー、材料メーカーからのものが多いようで、調査会社、メディアからの問い合わせも少なくありません。質問としては、主要用途は何か、成長するのか、市場規模はどのくらいか、といったたぐいのものをもらいます。具体的なユーザー名を教えて欲しい、紹介して欲しいとの依頼もあります。

 話を聞いてみると、類似の製品を開発しているが、具体的な用途を見つけるに至っていない、という状況が浮かび上がってきます。このような場合、私の立場上、具体的なポテンシャルカスタマーの情報は出せないことが多く、実際のビジネスに結びつくことはほとんどありません。一方、英語版の読者からの反応はストレートで、メーカーを教えて欲しい、その製品はどこで手に入れられるか、値段はいくらかといったたぐいのものです。