長い行列ができたJPCA Showの受付
長い行列ができたJPCA Showの受付

 2016年6月1日から東京ビッグサイトで、恒例の「JPCA Show 2016(第46回国際電子回路産業展)」が開催されました。今年に入ってから、日本のプリント基板業界は、前年同月比で毎月マイナス成長が続いており、市場の先行きが不透明な中での開催でしたので、ショーの状況が心配でしたが、展示会の規模としては、ほぼ前年並みでした。来場者は昨年を上回るほどで、かなりの活況でした。しかし、内容についてはかなりの変化がありました。出展者、来場者の意識も違ってきているようです。

 JPCA Showは日本のプリント基板業界の経営者が集まる機会ですので、市場動向の情報交換の場になっています。私もプリント基板メーカーばかりでなく、材料メーカー、装置メーカーの経営者、さらには業界のエキスパートと言われる人たちとも意見を交換することができました。残念ながら、景気の良い話はほとんどなく、業界の未来については悲観的な意見が大勢でした。日本のエレクトロニクス業界に復活の動きがない現状では、少なくとも、従来型のプリント基板ビジネスの回復は期待できない、という見方です。

 以前であれば、各企業の経営者は、不況をジッと耐えて凌ぐ、という考えが多かったのですが、今回の場合は、現状を打開する新たな手を打って行かねばならない、というように変わってきているようです。一般の来場者も、以前であれば、主目的はプリント基板製造技術動向の調査であったのでしょうが、今回は新しい分野の探索、というような意味合いが強くなっているようです。会場での各種オープンセミナーは、いずれも満席の盛況で、立ち見の聴講者もかなりいたようです。何か新しい展開の可能性はないか、という気持ちが伝わってきました。

 出展者の方も、従来型の関係企業は減っているようで、新しいタイプのメーカーが目立っています。今まであまり馴染みのない中堅フレキシブル基板メーカーが多かったように思います。特に中国のメーカーがかなりの数見受けられました。マレーシアのメーカーもありました。

 以前であれば、このような海外メーカーの技術レベルは、かなり低かったのですが、今回の展示で見る限りでは、かなりのところまできているようです。と言っても、品質で比べれば、日本メーカーと肩を並べるには、もうワンステップの努力が必要でしょう。ただ、コスト面では、かなり競争力がありそうですので、日本メーカーとしては侮れません。

 今回そのパフォーマンスが目立ったのは、台湾メーカーでしょう。まず、台湾の業界団体であるTPCA自身が大きなブースを構え、積極的に台湾メーカーの紹介をしておりました。まるで、台湾メーカーのセールスマンのようです。個々の企業のブースも、かつての野暮ったさはなく、日本の大手メーカーと肩を並べています。新しい技術や製品にも、結構ユニークなものが見受けられます。台湾のプリント基板業界も、去年あたりから勢いがなくなっており、それを打開しようとする意気込みが感じられました。ただ、台湾のメーカーにとって、日本に魅力ある市場が残っているかどうかは多少疑問が残ります。

大きなブースを構え、活発なプロモーションを行うTPCA
大きなブースを構え、活発なプロモーションを行うTPCA
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