これは2週間ほど前に私が米国で遭遇した経験です。マサチューセッツのレキシントンというボストンの郊外にあるピラミッド・テクニカルという特殊なメディカルデバイスを開発製造しているベンチャー企業を訪問した時のことです。

 私から見れば、お客様なのですが、もう7、8年もの付き合いで、もう気心が知れているので、受付でちょっと声をかけ、勝手知ったる会議室に入り、いつもの席に腰を下ろしたところ、誰か先客がいることに気が付きました。

 改めてそちらを見て、思わずギョッとしました。テーブルの反対側には、写真のようなロボットが座っていたのです。日本のヒューマノイドロボット、Pepper(ペッパー)のように小さくて可愛いのであれば、親しみもわきますが、人間と同じ大きさで、この顔の造りでは、たいていの人はギョットするでしょう。

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 しかし、よく見てみると、なんとなく可愛らしいところもあります。このロボットは首から上だけが動き、頭の上に付いているディスプレーには、オーナーの顔が映し出されますが、逆に目の前にいる相手の様子をカメラが捉えて、オーナーのもとに送っているのでしょう。通信は部屋にあるWi-Fiを使っているようです。

 後で社長が説明してくれたところによると、このロボットを作るのに要した費用は、日本円にして数万円で、必要なパーツの多くは会社の在庫品で間に合わせ、ディスプレーなどのモジュール類は、通信販売で入手したのだそうです。

 このロボットの設計や組み立てを、誰がやったかは聞きもらしましたが、1日で完了する仕事量とは思えません。2、3人で何日かかかるような仕事量です。従業員20人足らずの中小企業にとって無視できるマンパワーではありません。

 社長公認のもとで、就業時間中に作業したのでしょう。社長は、これで社員を1人削減できると話していましたが、もちろん冗談です。しかし、このような遊びの要素を持ってビジネスをこなしていることに脱帽です。