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HOMEスキルアップ会計視点で見る話題の業界動向 > いまだ対立する東芝と監査法人、限定付適正意見は出たけれど

会計視点で見る話題の業界動向

いまだ対立する東芝と監査法人、限定付適正意見は出たけれど

  • 金子 智朗=ブライトワイズコンサルティング合同会社代表
  • 2017/09/01 05:00
  • 1/3ページ

 東芝は2017年8月10日、延期していた2017年3月期の有価証券報告書を提出した(東芝の2017年3月期有価証券報告書:PDF)。公開された有価証券報告書の末尾に添付された監査法人の監査意見は、連結財務諸表に対しては限定付適正意見、内部統制報告書に対しては不適正意見であった。

限定付適正意見は「一応合格」ということ

 監査意見とは、監査法人が行った監査結果に対する総合的な意見である。監査の最終評価であり、監査の合否を表すものといってよい。

 監査対象は企業が作成する連結財務諸表と内部統制報告書だ(日本は米国と違って内部統制そのものが監査対象になるわけではない)。監査目的はそれらの記載内容が適正か否かを判断することにあるので、監査意見は適法性ではなく適正性に関する意見となる。

 監査意見には、「監査実施上の制約」と「監査対象上の不備」それぞれの重要性に応じて、無限定適正意見、限定付適正意見、不適正意見、意見不表明の4つがある(表1)。監査実施上の制約とは、十分な監査を実施する上での制約である。例えば、十分な時間が確保できない場合や、必要な情報が入手できない場合、または被監査会社が協力的でない場合など監査上の制約がある場合に該当する。監査対象上の不備とは、実態と異なる虚偽記載があることである。

表1●4つの監査意見。「監査実施上の制約」と「監査対象上の不備」それぞれの重要性に応じて判断される
出所:ブライトワイズコンサルティング合同会社

 監査意見のうち「無限定適正意見」とは、重要な監査実施上の制約も、重要な監査対象上の不備もなく、連結財務諸表全体として適正ということを意味する。合否で言えば、「文句なく合格」ということだ。

 限定付適正意見とは、重要な監査実施上の制約または重要な監査対象上の不備があるが、総合的に見れば監査対象全体が虚偽と言えるほどではないということを意味する。ケチは付くが「一応合格」ということだ。

 不適正意見とは、著しく重要な監査対象上の不備があり、総合的に見ても監査対象が適正とは言えないということを意味する。これは「不合格」である。

 そして意見不表明とは、著しく重要な監査実施上の制約があるため、監査意見が表明できないことを意味する。「採点対象外」ということだ。合格とも不合格とも言えないので、合否としては中立的な意見ということにはなるが、「採点対象外」というのは合否以前の問題なので、市場の受け止め方は非常にネガティブなものになる。

 上記のうち、財務諸表監査において不適正意見または意見不表明となった場合は、上場廃止基準に抵触することになる。

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