ソニーの業績が好調だ。同社は2018年3月期を最終年度とする中期経営計画で「グループ連結でROE(株主資本利益率)10%以上、営業利益5000億円以上」とする経営数値目標を掲げている。社長兼CEO(最高経営責任者)である平井一夫氏は2017年5月23日に東京都内で開いた経営方針説明会で、この中期経営計画の目標を「十分狙えるだけの力は付いてきた」と語っている(2017年度経営方針説明会資料)。

 果たして、ソニーの業績回復は本物なのだろうか。実は、ソニーの業績回復に対して有効打となった打ち手「分社化」が、同時に今後の課題になる可能性がある。今回は、この分社化の功罪について改めて考えてみたい。

エレキの黒字化が業績回復に寄与

 まず、ソニーの業績を見てみよう。図1は連結営業利益の推移だ。2008年度に多額の営業赤字に陥って以降、数年にわたって業績の低迷が続いていた。それが2012年度に回復の兆しを見せ、2015年度からは安定した黒字が続いている。2017年度にはさらに成長している様子が見て取れる。

図1●ソニーの連結営業利益の推移(1963年度~)
図1●ソニーの連結営業利益の推移(1963年度~)
出所:ソニー2017年度経営方針説明会資料
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 これを見る限り、確かにソニーの業績の回復基調は明確だ。その大きな要因は、なんと言っても「エレキ」の黒字化だ。