東芝の発表によれば、同社の2016年3月期の連結決算(米国会計基準)は4600億円の最終赤字になるという(東芝の決算短信)。その中で大きな額を占めているのは、米ウェスチングハウスの買収に伴う「のれん」の減損損失だ。その額は2400億円に上る。

 こののれん減損は金額の大きさもさることながら、その理由が少々珍しい。東芝の発表によれば、ウェスチングハウスが行っている原子力事業の事業性に変化はなく、事業の将来計画にも重要な変更はないという。それでも減損を行ったのは、東芝の格付けが下がったことに伴い資金調達コストが上がったからだという。

 東芝の格付けが下がったのは、言うまでもなく一連の不正会計を契機に急激に財務状況が悪化したからだ。それによって資金調達コストが上がったことも理解できる。要はリスクが高まった東芝に対して、銀行が貸出金利を引き上げたということだろう。しかし、なぜ資金調達コストの上昇がのれんの減損につながるのだろうか。

 今回はこれについて、減損の基本的な考え方に立ち返りながら解説しよう。