東芝は2017年2月14日、2017年3月期の第3四半期(2016年10~12月)および事業年度(2016年4月~2017年3月)業績見通しについて記者会見を開いた。この会見を受けて、2月14日から15日にかけての各メディアには「東芝 債務超過」の文字が躍った。ただし、現時点ではこの「債務超過」は東芝の正式発表ではない。

 今回の債務超過の原因となった東芝の原子力事業に関するのれん代は、東芝の米原発子会社であるWestinghouse Electric社による米CB & I Stone & Webster(以下、S&W)社の買収で発生したものだ。東芝は当初、2016年12月末までにのれん代を確定させるとしていたが間に合わず、第3四半期報告書の提出期限である2017年2月14日に確定値の発表を延期していた(関連記事「東芝の巨額損失、見落とされがちな3つの視点」)。2月14日の記者会見ではそれにも間に合わず、第3四半期報告書の提出そのものを1ヵ月先の3月14日に延期すると発表した。一部には、監査法人との調整が難航しているとも報じられている。

 債務超過は、その2月14日に東芝が「会社側の見通し」という位置付けで発表したものだ(2月14日会見の説明資料:PDF)。2017年2月15日付の日本経済新聞によれば、当初の105億円から6253億円に修正されたS&W社ののれん全額の減損損失を含めて、原子力事業において7125億円の損失が発生する。この結果、東芝の2016年4~12月期は4999億円の連結最終赤字(米国会計基準)になり、株主資本は2016年12月末時点でマイナス1912億円の債務超過に転落した。

 このまま何の対策も取らなければ、第4四半期(2017年1~3月)の業績改善を織り込んでも、2017年3月期通期の最終損益は3900億円の赤字となり、事業年度末では1500億円の債務超過になる。