よく、金持ち喧嘩(ケンカ)せずと言う。確かにそうだが、同じ金持ちでも、小金持ちはケンカするのではないかと思う。私はそのような場面を数多く見てきたし、そのような小金持ちの特性と言うか性質と言うか、その共通項を知っているのだ。

 まずは、小金持ちの定義をしなければいけない。

 小金持ちとは、わずかな金、あるいは少しばかりのまとまった金を持った人で、金がなくて困っている訳ではないが、大金持ちではない人のことを言う。

 その、小金持ちがケンカをする要因を、私は分析したのである。(ちょっと大げさか)

 何故、ケンカするのか。それは、少しばかり成功して金持ちになったはいいが、本当の金持ちではないので、せっかく稼いだお金を強請(せび)られるたり、集(たか)られたりして、誰かに取られるのではないかと心配するあまり、人を疑うようになってピリピリして、結果、ケンカする。のではないかと思うのだ。

 いささか、短絡的な論法かも知れないが、これをどこぞの国に当てはめると分かりやすい。

 見かけは先進国になったと言いながら、言うことは発展途上国のそのままに、やれ、戦後賠償だのお詫びを言えなどと、何かあると、隣国にケンカを売るような振る舞いの国があるではないか。いつまでも隣国を疑い、また植民地政策を仕掛けてくるのではないかと、いつまでもビクビクしている、あの国のことだ。

 小金持ちも、先進国になり切れない発展途上国も、何かの心配事が内にあり、ゆえに異常な緊張感の果てにケンカする、その構造が共通しているのではないかと、私は思うのである。